腎臓は、血液から老廃物を除去し、尿を生成します。尿の収集、排泄は尿路によって行われます。尿は左右の腎臓から2本の長い管(尿管)を通って膀胱に入ります。これら2本の長い管(尿管)を通って膀胱に入ります。排尿するときは、膀胱に溜っていた尿が、尿道と呼ばれるもう1本の管を通って排出されます。雌の尿道は比較的太く短く、反対に、雄の尿道は細くて長いのが特徴です。
この病気の特徴は、無機質結晶(砂とも呼ばれる)が尿路を刺激し、尿道を塞ぎ、膀胱結石を生成することです。FLUTDに伴なう症状は、頻尿、排尿時間の延長、不適切な場所での排尿、排尿痛(排尿時に鳴く)血尿、膿尿、失禁といった排尿に伴うさまざまな下部尿路症状が見られます。
尿路が遮断されると、腎臓が有害廃棄物を排出できなくなり、尿が排出されなくなると膀胱が満杯になります。獣医師の処置がないと、抑うつ状態、衰弱、食欲不振、嘔吐、疼痛が生じ、最後には死亡することもあります
FLUTDに罹る頻度は雌雄同じですが、尿道閉塞が起きやすいのは雄のほうです。
FLUTDは、さまざまな要因が重なって、尿路に無機質の結晶、結石、栓がつくられ、それが原因となって起こります。食餌中のマグネシウムの高含有率、肉体的活動の低下、肥満、水の消費量の減少、および尿量や排尿回数を少なくするすべての要因が、この病気に罹りやすくします。食餌中に含まれる灰分がFLUTDの原因とされていますが、食物の中に含まれているすべての燃えない物質を灰分と呼ぶので、その考え方は間違っています。灰分は食餌の重要な要素です。灰分は主に無機質から成り、マグネシウムもその1つに含まれています。灰分が少ない食物だからといって必ずしもマグネシウムが少ないとは限りません。FLUTDにはマグネシウムが関与していることが研究によって明らかになっているため、キャットフードの灰分含有量だけではなく、マグネシウムの量も重視されなければなりません。
早期治療を施せば、猫のFLUTDのほとんどは回復します。ただし、適切な管理を行わないと再発することが多く、合併症を併発して死亡することさえあります。FLUTDが疑われる場合は、手遅れになる慢性の腎不全や死に至る恐れがあるので、すみやかに治療することが大切です。
尿道閉塞がある場合は、ただちに獣医師の治療が不可欠です。獣医師は、細いカテーテルを通して栓子を除去するかバイパスをつくり膀胱を空にします。猫の状態を安定させて観察するために、普通は入院を必要とします。栓子を除去できない場合には、手術が必要となることもあります。家庭でFLUTDを管理する時は、以下の注意を守ってください。
① 清潔で新鮮な水をいつでも自由に飲めるようにします。
② 過度の運動、興奮、高温、低温などのストレスから猫を守ります。
③ 栄養学的に完全で、100 キロカロリー当りのマグネシウムの量が20㎎以下で、FLUTD管理用に特別に配合された食餌を与えます。
④ 獣医師が薬を処方したら、症状が改善したように見えても、投薬指示を厳重に守ってください。
⑤ トイレは毎日きれいにしておきます。猫によっては、汚れていると使い方が減ったり全く使わなくなり排尿しなくなります。猫が多数いる場合は、複数のトイレが必要です。
⑥ 運動をよくさせ、肥満を防止してください。
獣医師は、病気治療のために食餌管理用に獣医栄養学の専門家が配合した食餌を用意しています。この食餌には、優れた栄養が含まれ、特殊なニーズを満たし、病気があってもその器官が普通に機能するのを助けます。この食餌は、一般の市販ペットフードとは目的、色調、組成、原材料、栄養素の含有量が全く異なります。
特別療法食は、尿中に排泄されるマグネシウム量を少なくし、組織の回復を助ける栄養素を供給するために配合され、消化吸収性が良く嗜好性の高いフードです。マグネシウムの摂取量の減少は、無機質結晶の生成量を最少にし、FLUTDの際の食餌管理に最適です。
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